「字幕翻訳講義の実況中継」

新しい年、2022年。

 

今年は、映像翻訳の勉強をちゃんと再開する年にすると決めた。

 

と、いうことで手始めに

岡枝慎二先生の「字幕翻訳講義の実況中継」でお勉強を開始。

 

7か国語に精通し、2000本以上の映画の翻訳に携わった岡枝慎二先生。

先生の翻訳作品で、自分が観たものも多数ありそう。

パッと見ただけでも、「スターウォーズ」シリーズの最初の3作とか、

ダイ・ハード」とか、「猿の惑星」とか。

 

そんな大先生の授業をそのまま文字起こししたような本で、

キーワードとか重要なポイントが

赤字になってるのが何とも読みやすかった。

 

もう絶版になっていて

ネットで見つかる中古本はどれもかなりのお値段だったので

図書館で借りてみたところ、

今までみたことないレベルに変色してて

毎度丁寧にページをめくらないと破れてしまうほどの劣化具合。

 

出版されたのは、なんとなんと1989年…

映像がデジタル化される遥か前だから、

字幕を作る過程もかなり違った時代。

 

映像はフィルムに焼かれて

セリフの長さはフィルムのフィート数とコマ数で計算されて、

制限文字数を計算してから字幕を紡ぎ出す。

完成した字幕はカード・ライターと呼ばれる専門家の手によって

字幕専用の特殊な字体で白紙(シロガミ)に清書されて、

その白紙から凸版が作られ、それがフィルムに押されて完成(パチ打ち)

 

フィルムの種類とか、フッテージ計算法とか、パチ打ちとか

一瞬、今の時代は必要ない?と読み飛ばしそうな情報も

よくよく読めば、字幕の成り立ちやルールの理解に役立って

なかなか面白い!

タイムマシンでその時代に遡って

岡枝先生の授業を受けてきたような気分になった。

 

もちろん、 現代の映像翻訳に通ずる情報も満載。

その上、全10回の講義で毎回「常識テスト」がある。

 

先生によれば、語学の知識だけじゃなく、

軍事用語や宗教用語はじめ、

あらゆる文化に通ずる知識があればあるほど翻訳に強くなる。

そんな観点での解説もたくさん載っていて

これまた面白かった。

 

どんな知識も身につけておけば

きっと翻訳キャリアのどこかで役立つ。

まさに、それがこの仕事の魅力だし、

語学以外の情報のインプットにも

励むべし。と、いうことですなっ!